『平成19年度 東京労働局 行政運営方針(労働基準分野の概要)』の実施することとして通達されたもののひとつに、
『健康確保対策』 があります。
仕事や職場生活に関する強い不安、ストレス等を感じる労働者の割合も高く、加えて、長時間労働による健康障害の発生も社会的に大きな問題となっており、 『健康確保対策』 として実施することを、4つ挙げております。
① 職場における着実な健康確保対策
② メンタルヘルス対策
③ 職場性疾病予防対策・科学物質管理対策
④ 職場環境快適対策
実施できていますか?
これだけではなにをどうしたら良いのか、わからないのではないですか? 「これらの 『健康確保対策』 を実施しなければ」 とお思いではありませんか?
メンタルケアとは、心を労わること、心と向き合うことで心の健康を保つこと。
では、心の健康ってなんでしょうか?
いつも笑っていることですか?・・・・職場でいつも笑っているというのは・・・。
それは、変ですよね。
心の健康とは、喜怒哀楽がちゃんとあり、尚且つ心の治癒力が自然と働いている状態だと考えます。たとえば、仕事の失敗などで凹んでも自然と立ち直ったり、心の声に素直に、泣いたり笑ったり怒ったりすることが出来ていることです。
それが、社会で働いていると段々出来なくなったりします。
出来なくなると、どんどん自分の心とかけ離れてしまって、心の治癒能力が働かなくなってしまいます。
最近良く耳にするのは、職場のメンタルケア対策の実施で、上司が部下を面談やカウンセリングするという内容です。
メンタルケア対策の実施をしなければならないのはわかりますが、これは、 大間違いです。
上司が問いかけて、部下が本当の正直な気持ちなんて言えるわけがありません。
まして、上司は心の専門家でもありません。
メンタルケアを実施するに当たっての必須条件を下記に挙げます。
① 師弟関係ではないこと
② 恋人や身内ではないこと
③ 利害関係ではないこと
では、①から③の理由を説明します。
① 気を遣ってしまい本音を言えないため
② 私情が優先し判断を見誤るため
③ 損得勘定で心の会話が成立しないため
みなさん、カウンセリングを日常会話と同様の相談だと思っていませんか?
たとえば・・・・・、
- クライアント
- 「最近、上司に叱られてムカついているのですよ?、やる気もおきなくなります、僕はしっかりやっているのに!」
- カウンセラー
- 「それはムカつきますね、わたしもありますよ、そういうこと」
- クライアント
- 「えっ、ありますか?。そうですよね、むかつきますよね」
- カウンセラー
- 「ええムカつきますね。だからあなたの気持ちもすごくわかります!」
みたいな会話。
これは、単なる日常会話で、カウンセリングではありません。
カウンセリングとは、日常会話とも相談とも違います。
カウンセリングでタブーとされているものに、
同情・同感・同意・同調・承認・否定・肯定などがあります。
日常会話で求められているものが全てタブーです。カウンセリングでは、共感しか許されていないといっても過言ではありません。
共感とは、クライアントの映し鏡のようになることです。
カウンセラーは意識的に、自分の価値観や意思を鎮めてクライアントの言葉や、声にならない思いを感じ取ることに集中するのです。
それが、ロジャース※が唱えた『傾聴(けいちょう)』です。
現在、この『傾聴(けいちょう)』がカウンセリングの基本スタイルとなっています。
※ロジャースとは - カウンセリングの開拓者(アメリカ)
カウンセリングの真骨頂・・・・、
それは自己成長です。
① 人間は本来成長するもの
② 人間は失敗する、でも失敗して学んでいく
③ たとえ心が傷ついても治癒して再出発できる
というのが背景です。
カウンセラーは、自己成長を促すために存在します。
カウンセリングの作用で代表的なものを、以下に3つ掲げます。
① 自分で気づき、成長させる
② 話すことで浄化させる
③ 誰にも話せないことを話せる安心感
これらを助けるために、カウンセラーはカウンセリングを行います。
ゆえに、カウンセラーは自分の価値観や経験・意思などを、そっと脇に置き、クライアントの成長のために、
クライアントの話す言葉・言葉に隠された感情や、言葉にならないしぐさに集中して意識を
向けるのです。 そしてそっと手助けします。 それはわかる形ではありません。
『そっと心を後押しするような形』です。
なぜかというと、クライアントの求める答えは、常にクライアントの心の中にあるからです。